9月2日(日)復活への第一歩

「どの程度走ると痛みが出るのか知りたいんで、joggingしてみてください」

昨日セラピストに言われたこの言葉がずっと引っ掛かっていた。

「今走っても、多分痛みは出ないだろう。しかし、歩き方すら上手くいかないのに。これで走れても何も繋がらない。寧ろ、また変な庇い方をしてしまって、余計に歩きにくくなるのではないか?」

そんな不安が頭にあった。

一方で、

「もし変なフォームで脚を痛めても、通院しているこのタイミングなら、相談しながらフォームの修正が出来るかもしれない」

BGM代わりに流しているTVの音声以外何の物音もしない休日の昼。

「やるか」

後者を選択した。

 

久々に取り出すウェア。結局今年の夏は一度も出番がなかった。

心の中で「ごめんな」と語りかける。

 

走っていた頃は欠かさず行っていた總持寺の足腰御守りへの挨拶も行った。

「復活への第一歩となりますように」

 

ずっと脱ぎっぱなしにしていたシューズに足を通して家を出る。

 

やはり歩くとガクンガクンと不自然な動き。

 

しかし既に腹は括っていた。

 

復帰のコースに決めていた笠松運動公園へ向けて走り出す。

 

梅雨前に走って以来だから、3ヶ月ぶりくらい。しかし、身体は軽い。

イライラしたり、落ち込んだり、あまり気持ちよく歩けていなかったが、日々の歩行の積み重ねのおかげと思われる。

また、走り出してみると、あれほど相当な違和感として感じられていた股関節の動きが気にならない。

歩行と違って、一個一個の動きのフェーズが一瞬なので、さほど気にならないのかも知れない。

 

痛みは全然出ない。

 

一キロくらいのところでランナー二人とすれ違う。

歩いているときは嫉妬でイラッとしていたが、今日は仲間意識を持っていた。

「人間は勝手だな」

自分のことだが、他人事のように言える余裕がある。

 

約三キロかけて笠松運動公園へ到着。

 

痛みは全く出ない。そして何より、フォームがえらく落ち着いている。

 

故障前にあれほど悩まされていたフォーム。

今日は全く違和感が無い。

鏡で確認しなくても、かなりいいフォームであることが分かる。

無論、故障前に悩まされていた足首の痛みも出ない。出る気配が全くしない。

 

頭の中にあったのは、先日のアジア大会で金を取った井上大仁選手のフォーム。

悔しくて大会はほとんど見なかったが、スポーツニュース等でちらっと見たそのフォームがずっと頭に残っていた。

無駄な動きの無い堅実なフォーム。

今日の自分も、同じようなフォームで走れているような気がする。

 

手の位置は腰骨付近に置いて、その位置関係を崩さず、臍は正面を向けて、脚は蹴らずにパッパッと細かくピッチを刻む。

 

ここまで動きを研究した素人はそういないだろう、と言うくらい勉強しまくった筋肉や関節の各部の動きを確認しながら一歩ずつ進む。

 

しかし、こんなに違和感無く走れるのは、2年前に右股関節を痛めて依頼かも知れない。

ずっと待っていてくれた笠松運動公園の自然に対して、思わず感謝の気持ちが現れる。

 

どの程度で痛みが出るか確認するつもりだったが、一向に痛みが出る気配は無く、ステート前は「走っても十キロ」と決めていたが、結局18キロを走ってしまった。

本当は二十キロくらい走ってしまうおか悩んだが、今日の感じだと、明日からも普通に走れそうな気がしたので、一応自重した。

 

もしかすると明日以降また痛みが出るのかも知れない。でも、このフォームなら、筋肉の調整さえ出来ればきっと復活出来るはず。

そう思える復帰ランだった。

 

気づけば今年も九月。

 

高校時代から、九月は身体の調子が最も良く、最も良いタイムを出せた月だった。

 

そんな月の始め「9月2日(日)」は、忘れられない一日になりそうだ。

 

追記

ほとんど違和感ないランニングだったが、強いて挙げれば課題はある。

やはり左股関節の伸びが無い分、身体が左に向き気味。

走っているうちに均等化されれば良いが…。