地獄

今日も死なず。

ただ間抜けなリズムを刻んで。

 

「グッドン。グッドン。グッドン」

 

朝起きて、トイレへ行く。

グッドン。グッドン。

 

家を出て数歩目には、

グッドン。グッドン。

 

改札を通って、

グッドン。グッドン。

 

電車を降りて、

グッドン。グッドン。

 

会社への早歩きの時にも、

グッドン。グッドン。

 

今日のお腹はいい感じだ。

グッドン。グッドン。

 

お茶を汲みに行く。

グッドン。グッドン。

 

さあ帰ろう。

グッドン。グッドン。

 

人を追い越すときにも、

グッドン。グッドン。

 

試しに晩飯を抜いてみても、

グッドン。グッドン。

 

猛暑でも、

グッドン。グッドン。

 

治療後数歩目には、

グッドン。グッドン。

 

雨が降ってきた。

グッドン。グッドン。

 

いい加減にしろや!

グッドン。グッドン。

 

死ね、屑。くそったれ。ボケ。

グッドン。グッドン。

 

思いっきり殴る。

グッドン。グッドン。

 

起きてから寝るまで、ずっとこのリズムが付きまとう。

 

俺の間抜けな人生、間抜けな人間性を物語っている。

 

一体どうすればいいんだ?

グッドン。グッドン。

 

何故何も応えてくれぬ?

グッドン。グッドン。

 

苦しい。

 

何も出来ない。何もさせてくれない。

こいつさえいなければ。

 

お前さえいなければ。

 

神様。もういいです。

もう懲り懲りです。

こんな人生。もう終わりでいいです。

早く閉じてしまって下さい。

屑男

もう分かりきったことだが、今週も何も改善しなかった。

 

便の状態、膨満感の波と全く連動していない。

 

分かってる。もうお前には何も期待してない。

 

最近自席から喫煙所迄の間に自分の姿を正面から照らすガラスがあることに気づいた。

 

恐る恐る自分の姿を確認するも、

ありえねー…。

ふざけているとしか見えないだろうな…。

 

会社の自席で数時間過ごしただけなのに、身体が右へ大きく傾いている。いや、通勤時からそのくらい傾いているのかもしれないが…。

職場には杖をついている人がいるが、自分より遥かに安定している。

 

身体が右へ傾く癖はもう自覚できているので、何とか左へ傾けようとするのだが、何かに引っ張られてすぐにまた右へ引き戻される。

 

どこかに痛みがあったり、明らかな筋力不足があるなら理解出来るが、そんな痛みはないし、筋力の出力が正常だと言うことは病院やその他数々の整体、整骨院で確認している。

 

それなのに、何かに引っ張られて真っ直ぐ歩けない。

 

更に、帰宅時、右へ引っ張られないように左へ傾けると、今度は突然左後ろから強力な引力が働いて、壁にぶつかることが度々発生する。

制御がとてつもなく難しい。

バランスをとるだけで精一杯。

酔っぱらいよりも安定感がない。

 

それなのに、原因が全く分からない。

 

内臓が原因なら、さっさと数値に現れたり、症状が出てもらった方が助かるのだが、全くそんな気配もない。

 

ただただ、バランスをキープするための無駄な筋肉と、左肩が痛むだけだ。

 

今週も原因を掴もうと毎日歩いてみたが、全く掴めない。

 

残ったのは絶望のみ。

 

颯爽と歩く人、夏休みを楽しむ子供達、楽しそうに飲み会に向かう人、旅行の計画をたてる人…

スポーツに励む人、ランニングする人…。

いや、普通に買い物している主婦、普通に駅のホームを歩く人…。

そんなごく普通の人達を見ているうちに、孤独に苛まれ、ついつい自分の人生を呪った。

 

もう自分には、普通の人達のように、普通の当たり前な生活を送ることが出来ない。

 

「何で俺だけ」

 

時折怒りが込み上げて、大股で歩こうとすると、まるで肩透かしを食らったかのように今度はびっこひきが強くなる。まるでエンストを繰り返す車のように…。

 

週の後半は怒る気力すら無くなった。

 

「死ね、死ね、死ね…。」

 

一歩一歩、こころの中でそう呟きながら歩いた。

 

昨日は急に右折しようとするタクシーにぶつかりそうになった。

キッと運転手を睨み付けた。

タクシーはスピードを緩めるも、そのまま行ってしまった。

 

屑野郎。

車という凶器で脅すだけで、人を引き殺すこともしない。

 

そして再び「死ね、死ね」と呟きながら、何の目的もなく歩く。

右から、かと思えば左後ろから働く強力な引力に逆らいながら歩く内、目が回って吐き気にもよおされた。

 

橋の上から遠く海の方を眺めた。

 

工事や発電所の光がポツポツと点滅している。

 

何なんだ?この人生。

何なんだ?この世界。

屑ばかりだ。

 

そして屑を嘆くだけで、己を殺すことも出来ないお前。お前こそが屑だ。

 

手遅れ

結局、便秘が改善されても、寝る前の食事をやめても、何をやっても身体の変形は全く変化がない。

それどころか、日々悪化の一途をたどっている。

 

月曜日から金曜日にかけて悪化(-3)。土日に少し回復して(+2)、また翌週悪化。

 

これを繰り返して、少しずつ毎週身体の変形が進行しているようだ。

 

気づけば肩や首も痛くなっている。別に大したことはしていない。ただ毎日仕事して、歩くだけで、だ。

 

原因も掴めない。

と言うか、恐らく原因を潰しても、ここまで変形が進行しているため、いまさら身体の変化が得られないと言うのが実態。

従って、何が原因なのかももう分からない。迷宮入り。

 

食事、薬、ストレス、仕事、人間関係、年齢…

原因を探せば探すほど、世の中に対する不信感ばかりが募っていく。

 

要は、手遅れと言うこと。

 

あとは、びっこひいて、情けない姿勢で今後の人生を歩まねばならない。

 

三年前、あれだけ毎日ランニングに取り組み、福岡の夢を追い掛けていたのに、たった一度の怪我、しかも今考えると大したことない怪我、それも、恐らく単なる疲労を大きな故障と考えた故の怪我を切っ掛けに、今や障害を抱えて人生を送らねばならなくなった。

 

後悔してもしきれない。

 

どうにもならない身体で何とか生活せねばならないため、今日も工夫して歩いてみる。

 

ふと外壁に目をやる。

 

そこには奇妙な人影がうつっていた。

 

物凄く力んでいる。踏ん張っている。前傾させながら。

 

日が落ち、正面からその人影を見ると、左肩が丸まり、右肩がいかり気味の、不安定な物体が動いている。

 

「奇異」

 

あの人何やってんの?ばっかじゃねーの?

見ない方がいいよ、きっと頭おかしいんだよ。

 

絵にならないと言うか、何と言うか。風景に調和していない、見るだけでこちらをイライラさせる物体…

絶対に被写体になってはいけない物体…

 

一体その物体はどこに向かって身体を進めているのだろうか?

一体何に侵されたらこんな風になるのだろうか?

死にたいとか思わないのだろうか?

楽しみとかあるのだろうか?

 

とにかく、関わらないのが身のためだ。

無情

身体の奇形がピークを迎えている。

 

やはり原因は左骨盤後傾、右骨盤前傾。

 

全く歯が立たない。

 

関節が前を向いてくれない。

どんなに胸を張ろうと、身体を捻ろうと、あらぬ方向に足が向いてしまい、膝や足首の関節が削れる。肩が上がらなくなる。

 

未だに類似の症例が見つからない。  

こんなに酷い状態なのに、誰に相談しても、どこへ行っても、何も変わらない。理解すらされない。それどころか、悪化の一途。

 

今週こそは、と思っていた。

 

しかしながら、

無情にも打ち砕かれる期待。努力。

無情にも注がれる奇異の目。

無情にも過ぎ行く時間。

無情にも失われていく体力。

無情にも失われていくあの日の記憶。

 

ただただ消え行く治療費。

ただただ溜まるストレス。

疲労。絶望。後悔。怨み。

 

俺の人生は、どうやら苦しむために用意されていたようだ。

 

 

 

ありえない…。

今週は大根おろしの効果か、便秘は酷くなく、割りと好調。

 

だが、身体の歪みが全く比例しない。

 

寧ろ反比例しているかのように、とてつもなく歩きにくくなっている。

いや、歩きにくいと言うか、もう歩けないに近い。

 

今日は帰れないのではないか?と恐怖すら抱いた。

 

ほんと、とんでもない。無茶苦茶。

 

間違いなく車椅子の方が速い。

 

左の股関節が後傾し、右の股関節が前傾しているのが原因と思われる。

まるで足が別の箇所に生えているような、とんでもない違和感。

 

右足でこいで左足でブレーキをかけている。

 

もう使い物になってない。

 

これが現実なのか?こんなことあっていいのだろうか?何か夢でも見ているのではないか?

 

どこか神経でも狂っているのではないか?

 

早く死ねと言うメッセージなのか?

 

どうやって生活していけばいいのか?

 

もう嫌だ。

 

限界。

返してくれ

外出する気になれない。

この土日もついに引き込もって終えてしまった。

 

もっと色々なところに行きたい。

でも身体が許してくれない。

 

辛うじて選挙へ行くが…。

 

歩き方が酷すぎる。変すぎる。恥ずかしすぎる。でもどうにもならない。

 

ほんと、正常な身体を返してくれ。

 

「そこの、無責任に変な歩き方や走り方を流布している屑どもよ。俺の人生を返してくれ!」

 

毎週毎週こんなことの繰り返し。

 

もう疲れたよ。

何で俺だけこんなことになっちまったんだよ。

 

こんな人生早く終わってくれ。

不幸をもたらす身体

ほんと…まともに歩けないって、なんなの。

 

痛くないならいいじゃんとか、遅くても歩けるんだからとか、色々言われるが。

 

この、少し歩くだけで目が回りそうになる異常歩行の苦しみ。

 

気持ちは強く持とうと思うも、からだが外出を拒否する。

 

もし、こんな屑な身体じゃなかったら…まともに歩けていたら…今頃花火を見ながら歩いたり、神社巡りしたり、「ぶらっと」出掛けていただろう。

 

でも、この「ぶらっと」が出来ない。

 

ほんと辛い。

 

土日が来ても楽しみがない。

 

あー早く死なねーかな。もう嫌なんだよほんと。

 

綺麗事はいくらでも言えるさ。

 

気持ちのもちようだの、前を向いてだの…。

 

そんな無責任な発言はどうでもいいから、解決策を教えてくれ。

 

ほんとくそつまらない人生。