地獄

今日も死なず。

ただ間抜けなリズムを刻んで。

 

「グッドン。グッドン。グッドン」

 

朝起きて、トイレへ行く。

グッドン。グッドン。

 

家を出て数歩目には、

グッドン。グッドン。

 

改札を通って、

グッドン。グッドン。

 

電車を降りて、

グッドン。グッドン。

 

会社への早歩きの時にも、

グッドン。グッドン。

 

今日のお腹はいい感じだ。

グッドン。グッドン。

 

お茶を汲みに行く。

グッドン。グッドン。

 

さあ帰ろう。

グッドン。グッドン。

 

人を追い越すときにも、

グッドン。グッドン。

 

試しに晩飯を抜いてみても、

グッドン。グッドン。

 

猛暑でも、

グッドン。グッドン。

 

治療後数歩目には、

グッドン。グッドン。

 

雨が降ってきた。

グッドン。グッドン。

 

いい加減にしろや!

グッドン。グッドン。

 

死ね、屑。くそったれ。ボケ。

グッドン。グッドン。

 

思いっきり殴る。

グッドン。グッドン。

 

起きてから寝るまで、ずっとこのリズムが付きまとう。

 

俺の間抜けな人生、間抜けな人間性を物語っている。

 

一体どうすればいいんだ?

グッドン。グッドン。

 

何故何も応えてくれぬ?

グッドン。グッドン。

 

苦しい。

 

何も出来ない。何もさせてくれない。

こいつさえいなければ。

 

お前さえいなければ。

 

神様。もういいです。

もう懲り懲りです。

こんな人生。もう終わりでいいです。

早く閉じてしまって下さい。