末路
今年ももう終わりに近づいた。
いつも節目で考える。
「あれからもう3年が経っちまった…。」
左半身は相変わらず伸びず、左足は前に出ず、足が着いても反応が鈍い。
何かしらの原因があったとしても、全身に波及している現状。身体は全て繋がっている以上、何かを改善したとしても、他が言うことを聞かない。
足?いや肩甲骨?いや肋骨?いややっぱり足?と言う具合に…。
2016年の秋から違和感を覚えた2017年の春迄に何かがあったのは間違いない。
しかし、もう3年。
「年齢だから仕方ないんじゃない?」
と、片付けられてしまっても何も言えないくらい時間がかかりすぎた。
「若い奴はいいな」
今年も駅伝に向かう選手達の姿を見て、嫉妬している自分がいた。
「いや、原因さえ改善出来ればきっと」
一年前はそう自分を奮い立たせていたが、もう何年も変わらない状況。さすがに諦めざるを得ない。
何とか逃れてたどり着いた休日。
だが、何もする気が起きず、ぼっーとTVを眺める。
いつまでも過干渉な親は、子供の頃に熱中できるものに取り組むことで、子離れしやすくなると、ある番組で専門家が言っていた。
俺が子供の頃に熱中していたことは何か?
小さい頃のことを思い出すも、エラーして怒られないように必死に野球をしていたこと、どうすれば野球で怒られずに済むかを考えていたこと、仕方なく友達がゲームをしているのを眺めていたこと、受験のために必死に勉強していたことくらいしか思い出せない。
「今更だ…。」
熱中していたことを思い出せれば、就活でも苦労はしていなかっただろう。
いつからなのだろう、自分の熱中できること=他人から悪く思われないことになっていた。
コンプレックス。
どんくさい。ダサい。
いつも劣等感を振り払うために生きていただけだった。
容姿は変えられない。頭も変えられない。
せめて体型だけでも…。
常に襲いかかる劣等感から救ってくれたのはランニングだった。
だが、そのランニングさえも己の劣等感によってぶち壊し、とうとう劣等感から逃れる術を失った。
必然だった。
相変わらず、一歩一歩、ドブに填まり、鉛のように重い左足。
「もうお前の身体の一部にはなりたくない」
そう必死に俺に訴える。
五年前の休職中。
日々死のうと考えていたとき、
「福岡目指そう。せめて35歳まで」
身体が俺に前を向かせるきっかけを与えてくれた。
しかし、とうとう期限切れがやって来た。
それまでに何か見つかればと思っていたが、この世の中には自分の居場所はなかった。
約束だ。もう諦めるよ。
劣等感と言う猛毒に犯された人間の末路。
別に何の驚きも無い。