長い夜

どうやら結構風邪を拗らせていたようだ。

 

仮眠をとると悪夢にうなされ、起きてみると異様に身体が怠い。

 

熱を計ると微熱。

 

走れる状況ではなかったようだ。

 

何もやらない休日。

正直何をするきにもなれない。

 

辛いのは、頭を駆け巡る後悔と絶望。

 

目を閉じると、動かない股関節を必死にコントロールしながら走ろうとしている自分がいる。

 

そこには、あの日見た優しさが完全に無くなっている。

 

こんな自分でも受け入れてもらえる場所があった。

 

そう感じることのできた唯一の友。

 

しかしもう自分のもとから去ってしまった。

もう二度と戻ってこないのだろう。

 

生きる意味、価値、さっぱり分からなくなった。

 

斜陽。

 

四年前だったか…福岡国際を目指していた頃、冗談混じりで「35歳までやってみてダメだったら死んでもいい」

 

と、35歳を目処に生きていこうと考えていた頃がある。

 

ランニングが出来なくなったら死ねばいい。

 

と本気で考えていた。

 

まさかこんな形でランニング出来なくなるとは…。

ついでに歩く楽しみも奪われた。

 

くそな人生だったな。

 

次から次へと楽しみが奪われる人生。

 

んっ?生まれ変わったら?

冗談じゃない。もうこんな世の中には生まれねーよ。

 

斜陽。

 

傾き始めると、もう奪われるだけ。

 

「そんなに下を向いていたらつまらないよ」

 

んっ?前を向きたくても向けねーんだよ。

地面を見るだけの人生。

 

もうやめちまえ。